四季追い歌

fujimaki ryouta

朝露 一粒分の未来の光
喉の奥の渇きを潤すには
足りないけど
おはようって言える誰かを人は探し
ただいまって言える誰かを
愛するだろう
花が咲く頃に 空が澄み渡る頃
出会えたらいいね
夏草を追いかけて 落ち葉を集めて
夢がないなら抱き合えばいい
マフラーに顔を寄せて
桜をおくって
愛がなんだか分からなくても

窓の桟に忘れられた古い五円玉
僕らの古いご縁みたいに
悲しく笑ってる
行き場をなくした夢を空に放ち
やり場をなくした恋を土に返そう
果実がつくまで 雨が上がるまで
太陽は昇っていくんだ
朝顔の種を蒔いて
ススキを揺らして
終わりの先でまた始まる
泣くもんか負けるもんか
夢ならばここにあるだろう
春夏を秋冬を
もう二度と出会えぬ今を
夏草を追いかけて 落ち葉を集めて
明日がなくとも今があるだろう
マフラーに風を投げて 桜が笑う
愛とは何か分からなくても
もう一度

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