水のない噴水
kurosu chihiro
秋深く公園の石畳を落ち葉が彩る
騒がしい街の喧騒忘れて
ゆっくりとふたりは透き通ってゆく
風寒く薄紅さす横顔が幼く映って
新しい靴が擦れて痛いから
これ以上歩けないなんて困らせる
わかってるのに
気づかない気づかない
シアワセの意味を
あらためて受けとめた
なにげない景色
空高くひとすじの飛行機雲
背筋を伸ばして
水のない噴水の縁に立って
崩れるバランス楽しんでいる
転ばないように
気をつけて気をつけて
差し出すその手を
つかまえて抱きよせた
わかってるのに
気づかない気づかない
シアワセの意味を
あらためて受けとめた
とくべつな瞬間
短い夢の後前鮮やかに焼きつけた
転ばないように
気をつけて気をつけて
差し出すその手を
つかまえて抱きよせた
やわらかく強く