29番線
Motohiro Hata
中吊りの見出しが揺れる ゆらっと イラっと
僕が欲しい答え 載ってないみたい
なにしろ線路は続くし いっそ どっか
遠くへ運んでくれたらいいのに
張り裂けそうな日常
想像通り 予定調和だ
ゆるやかに目減りしてく未来
気が付けば ほら すでに30手前だ
現実逃避 途中下車なんて
そんな勇気もないよって 指くわえたまま
ぼんやり窓の外見ていた
電車は進むよ
昨日のミス 頭をよぎる ヤツの笑い顔
独りだけ取り残されていくみたい
定刻を二分程過ぎ 滑り込むプラットホーム
目の前のドアも深呼吸をした
駆け出しそうな焦燥
想定外に 素晴らしい事態も
待っているかもしれないよって
淡い期待の裏 不安をごまかしているんだ
各駅停車 ひとつずつでもいい
ただ前に進みたいんだって
景色止まっても 心は加速していくんだ
扉は開いた
想像以上だ めくるめく日々は
またたく間に過ぎてゆく
気を抜けば ほら すぐに終着駅だ
半信半疑 どうすればいいのか
そんなんわからなくたって
最終電車が来るまで戦うべきだ
また今日が始まる