腕 kaina
宝野アリカ
膝がくずおれる
地に着いた掌
汗と血は
青い砂に染み入る
空と海と 昼と夜の
間を生き 倒れるその身
でも世界は君に積もる
助けなど来ぬことは
もう知っていよう
目に見えぬものたちが
行く手を阻んでも
君が居るのは岩間の牢獄じゃない
いくらでも変えられる
その道の彼方を
私は待とう
光輝く君だけを
一人だと思うときほど
側にあるは影
真の暗闇を
けして与えぬように
閉じた瞼には
揺れる残像
風と波と 過去と未来
浮かび沈み 留まらぬ心
まだ世界は果てを持たず
夢を抱く翼には
触れる星遠く
己を守れるのは
己の他にない
君が纏うは鋼の甲冑じゃない
何度でも起き上がれ
痛み伴うなら
私が聞こう
胸裂けるほどの咆哮も
涙では洗い流せぬだろう
何一つ
目に見えぬものたちに
覆い尽くされても
墜ちてゆくのは土底の柩じゃない
いくらでも変えられる
その道の行方は
待ち続けよう
光輝くそのときを
そう
君が死ぬのは
私の腕の中だから