密猟区
Takarano Arika
鎖骨の窪みを飾る
錆びた鎖の冷たさ
交わる唾液は
血の味が滲む
その目瞬きは死の岸辺
逆さづりに映る私は
地獄の天使
狩りに出ましょう満ちた月の
エデンの森は放し飼い
舌を垂らした犬のように
深い葉翳も嗅ぎ廻る
さあどうぞ
心臓へ
投げ込まれた獲物
夢と霞を食べて
生きているわけじゃない
厳かな愛撫が
なぞりゆく道筋
薬壜の割れた破片で
明日を繋ぎ続ける君は
毛皮の男娼(マリー)
弓で射るのは毒の林檎
一口囓るその前に
羽根の砕けた鳥のように
花の褥で空を見よう
どういかが
絶望に
魅入られた夜明けは
盛りの季節はすぐに過ぎて
どんな泉も枯渇する
愛を失くして誰もみんな
骨まで老いて土になる
狩りに出ましょう満ちた月の
エデンの森は放し飼い
舌を垂らした犬のように
暗い葉翳も舐め回す
さあどうぞ
心臓へ
投げ込まれた獲物
もういいわ
絶望に
彩られた希望