1999年、夏、沖縄
僕が初めて沖縄にいった時
何となく 物悲しく思えたのは
それがまるで日本の縮図であるかのように
アメリカに囲まれていたからです
とはいえ 94年夏の沖縄は
Tシャツが体にへばりつくような暑さで
憂鬱なことは全部 夜の海に脱ぎ捨てて
適当に二、三発の恋もしました
ミンミン ミンミンと蝉が鳴いていたのは
歓喜の歌か それとも嘆きのブルースか
もはや 知るすべはないが あの蝉の声に似たような
泣き笑いの歌を 奏で僕らは進む
いろんな街を歩き いろんな人に出会い
口にした「さようなら」は数しれず
そして 今 想うことは 大胆にも想うことは
あぁ もっと もっと誰かを愛したい
酒の味を覚え始めてからは
いろんなモノを飲み歩きもしました
そして世界一のお酒を見つけました
それは 必死で働いた後の酒です
戦後の日本を支えた物の正体が
何となく透けて見えるこの頃は
平和とは自由とは何か? 国家とは家族とは何か?
柄にもなく考えたりもしています
生まれた場所を離れ 夢からも 遠く それて
あぁ 僕はどこへ辿り着くのだろう
今日も 電車に揺られ 車窓に映る顔は
そう ほんの ちょっと くたびれているけれど
神は 我等を救い賜うのでしょうか
それとも 科学がそれに代わるのでしょうか
永遠で ありたいと思うのは野暮でしょうか
全能で ありたいと願うのはエゴでしょうか
時の流れは速く もう三十なのだけれど
あぁ 僕に何が残せると言うのだろう
変わっていったモノと 今だ変わらぬモノが
あぁ 良くも悪くもいっぱい あるけれど
そして 99年夏の沖縄で
取りあえず僕らの旅もまた終わり
愛する人たちと 愛してくれた人たちと
世界一の酒を飲み交わしたのです
最後の曲が終わり 音が なり止んだ時
あぁ 僕は そこで何を思ったのだろう
選んだ路とはいえ 時に険しくもあり
些細な事で僕らは泣き笑う
いろんな街を歩き いろんな人に出会う
これからだって それはそうなんだけど
そして 今 想うことは たった一つ想うことは
あぁ いつか また この街で歌いたい
あぁ きっと また あの街でも歌いたい
あぁ そして 君に この歌を聞かせたい