校庭の仔犬
秋元康
校庭の片隅
一匹の仔犬が
教室を見上げて
誰かを探している
おだやかな午後
授業中も何となく
あなたのこと考えてしまう
鉛筆が横顔を
落書きするように...
他のクラスの男子なのに
気になったのはいつからだろう?
すれ違うその度に
きゅんとするのよ
窓の向こうには青空
目を細めながら眺めて
心に迷い込んだ
あなたを思ってた
校庭の片隅
一匹の仔犬が
教室を見上げて
誰かを探している
もし言葉 喋ったら
何を話すのだろう?
恋はどこからかやって来て
近くを彷徨(さまよ)うものね
先生から当てられた時
チンプンカンプン 答えられなくて
アンビリーバブル あきれられた
集中しなさい
サインコサインタンジェントより
ときめいている胸の奥の
その答え 知りたいだけ
うわの空になる
体育の授業の生徒は
誰も無関心みたいで
小さな訪問者に
声さえ掛けないね
できるなら駆け寄り
この手に抱きしめて
頭を撫でながら
ずっとそばにいたいよ
何をしに来たのか?
私には伝わる
自分でも気づかないうちに
あなたに会いに来たのね
校庭の片隅
一匹の仔犬が
教室を見上げて
誰かを探している
もし言葉 喋ったら
何を話すのだろう?
恋はどこからかやって来て
近くを彷徨(さまよ)うものね