描いた月
畠山謙悟
恋を忘れた詩人と
唄を忘れたダンサー
月に手を伸ばせ
届かなくても
嘘が本当のふりして
耳を塞いでいるから
例えば言葉だけじゃ
なにも聞こえなかった
汚れた絵を何度でも
塗り直してさ
描いた月が滲んでも
やり直せるぜ
夜と明日の隙間は
過ぎた記憶になった
雨が上がるまでの
時間を覚えている
破れた絵を何度でも
張り直してさ
助走もしないで飛んでゆけ
どこからでも
汚れた絵を何度でも
塗り直してさ
描いた月が滲んでも
破れた絵を何度でも
助走もしないで飛んでゆけ
どこからでも"
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