さようなら、おかえり
YUKI
今は昔 少年がいました
ひねもす野原 駆け回って虫を採る
遊んだ帰り道は
宵待草の匂いがします
転んでもまた起き上がる
未熟なれど男です
薫るる風と逃げ水
短い髪を清らかに撫でる
追いかけたけれど
紅の夕日に消える
また会えるかな
さようなら、おかえり
時は流れ 少年は大人に成る
本当や嘘 優しさの意味を知る
しわしわの掌を
離れてひとり旅に出ます
自分で選ぶ分かれ道
見せておくれ心意気
夕立ち雲と約束
泣きたい時に交わす合言葉
思い出せなくて 潮騒の詩に尋ねる
小さな僕の姿は見えない
かおるるかぜとにげみず
みじかいかみをきよらかになでる
おいかけたけれど
くれないのゆうひにきえる
またあえるかな
さようなら、おかえり