ひとつの恋が終るとき
Yumi Matsutoya
前も見えない雨が
それぞれの道 照らしてた
駅へ送ってゆくよ
最終電車 去ってしまう前に
ハンドルの向こうに続く
きみのいない人生へと急ぐよ
このまま
きみは傘の雫と
みじかいため息 ふっと残し
ふりかえりもしないで
すぐ階段に 消えてゆくのだろう
トレンチの背中を伸ばし
ちがう人に見えたならば
涙に にじんで
ぼやけて 流れるけれど
強くなる もっと強くなれば
忘れずにいられる
つらくても きっとあとになれば
やるせなく思える
駅へ送ってゆくよ
ひとつの恋に終りを告げるよ
ミラー越しに
前も見えない雨が
別々の明日 包んでた
鍵ならかえさないで
二人のドアは もう開かないから
信号が変わるたび めくる
なつかしい風景 まるで
ポスター みたいに
破ってしまいたいけれど
強くなる もっと強くなれば
失くさずにいられる
つらくても きっとあとになれば
美しく思える
駅へ送ってゆくよ
ひとつの恋に終りを告げるよ
ミラー越しに