髪を切る日
Noriyuki Makihara
はさみが通るたびに
想い出が落ちて行く
今朝 何気なく見た
パスポートの写真だけが
君を覚えてる
人は髪を切る前に
きっと何かを片付ける
だからわざわざ混んだ日曜日を
選んでしまうのだろう
終わる恋人同志は
きっとお互いの変化を
わかりあえず
それがうわべのこととさえも
気付けない
少なくとも僕たちは
そんな風に別れた
短く切って下さい
彼女が嫌いだったスタイルに
この店に座る人を
鏡の中で見ていた
すてきになっていく人たちを
見ていると思わず微笑んで
そういえば二十歳まで
僕は髪をおろしてた
初めて額を出した日は
何だか恥ずかしかったけど
扉を開けた僕の襟元を
吹き抜ける風に目を閉じてみる
見送った季節を今日から
取り戻そう
君の残した言葉は
僕の中で育てるよ
さよならの意味もきっと
自分で変えることが出来るはず
そろそろ前に進まなきゃ