離郷しぐれ
翼 かず
どうかお頼み いたします
残し置きゆく 父母の
明日(あす)を案じて 手を合わす
男には行かねばならぬ 時がある
離郷しぐれが 枯れ葉を連れて
俺を呼ぶよに 窓を打つ
父は行けよと 申します
たった一度の 人生を
広い世間で 頑張れと...
男には口には出さぬ 夢がある
離郷しぐれが 別れの朝に
なんで門出を 濡らすのか
名残惜しいが 参ります
俺を見送る こともせず
母は気丈に 背を向けた
いつの日か迎えに来ると
振り向けば
離郷しぐれか 涙の露か
肩にハラハラ 降りかかる