花に触れる音
Rin
夕焼けを吸って橙色になった頬
星空を吐き出す吐息はやけに冷たかった
絵画のような君の横顔
流し目で差し込む視線
小さな箱に落ち着いた音
何も残さない花たち
胸をぎゅっと締め付ける香りに
めまいがする
君の髪が、萎びやか、愛おしい、寂しい、恋しい、嬉しい
喜ぶ顔が熱くて、
すり抜ける指が優しさに熟れている
緩やかに落ちる黒が心の奥に触れる
心地いい熱だ
ゆっくりと輪郭をなぞる
じっとりと落ちた汗が
不確かであやふやな感情の輪郭が
幼子が母親の髪に指をとおすように
幼子が父親に頭を撫でられるように
ひとりぼっちの人間は心臓の鼓動に
安堵の息を漏らす
君の髪が、萎びやか、愛おしい、寂しい、恋しい、嬉しい
喜ぶ顔が熱くて、
すり抜ける指が優しさに熟れている
緩やかに落ちる黒が心の奥に触れる
心地いい熱だ